元旦礼拝
トラのようになっても
士師記 10:1-2
1 アビメレクの後、ドドの孫でプアの子であるイサカル人トラが、イスラエルを救うために立ち上がった。彼はエフライムの山地のシャミルに住み、2 二十三年間、士師としてイスラエルを裁いた。彼は死んで、シャミルに葬られた。
虎は死して皮を残し、人は死して名を残す
明けましておめでとうございます。今年は寅年です。
ことわざに、「虎は死して皮を残し、人は死して名を残す」という言葉があります。虎は死んだ後も毛皮が残り、大切にされます。人が死んだ後も、その人の功績は残ります。だから後世に名を残すような生き方、死に方をしなさいという意味の言葉です。
聖書にはたくさんの人の名前が残されています。
その中にトラも名を残しているのをご存じでしたか?
何の業績も残っていないトラ
士師の中にトラという人がいます。
士師と言えばギデオンやサムソンが有名です。彼らは敵を打ち破り、イスラエルを救い出しました。たった300人で13万5千の兵を打ち破ったり、ものすごい怪力だったり、印象的な活躍が記録されています。
他にも左利きのエフドや女性の士師デボラ、不良のリーダーだったエフタなど個性的な士師たちがいます。
他のマイナーな士師たちでも、何百人の敵を破ったとか、家族や財産に恵まれたとか業績が記録されています。
その中でトラとエロンの2人については、出身の部族、士師として治めた年数、葬られた場所だけが記録されています。業績と言えるものは一言も残されていません。
エロンの治世は10年です。トラはその倍以上の23年です。23年も士師をしておきながら、何も後世に語り告ぐものがないなんて、残念過ぎませんか。
短く空しい地上の人生
他の士師と比較するなら、トラは残念な人に見えます。しかし私たちはトラを笑うことができるでしょうか。
ほとんど多くの人は、後世に残るような業績をあげることなくこの世を去ります。
30年40年働いても、退職すれば忘れられていく。
80年90年生きていても子どもや孫たちに記憶されるだけで、すぐに忘れ去られます。自分のひいおじいさんやひいおばあさんのことをどれほど知っていますか。自分のひ孫の世代は、自分のことなど知らないのです。
コヘレトが言うように、「なんという空しさ、なんという空しさ、すべては空しい」ではありませんか。
この短く空しい地上の人生は風のように通り過ぎていくだけです。
新しく始まった2022年も、あっという間に過ぎ去っていきます。気づいたときには、この一年私は何をしたのだろうと頭を抱えているかもしれません。
私たちはトラのように空しい人生を歩んでいます。
業績を残したとしても空しい地上の人生
トラのようになって何が悪いのでしょう。
動物の虎にとって、皮を残すことが幸せでしょうか。そんなものは金持ちの贅沢であって、虎本人の幸せとは全く関係ありません。
人間にとって、後世に名を残すことが本当に幸せでしょうか。この世の限りある人生を思えば、死んだ後も何かを残したいと執着するのも仕方ありません。
しかし偉大な何かを成し遂げても、それが本人の幸せになるかどうかはわかりません。たとえ莫大な富を築き、多くの妻や子どもたちがいても、「なんという空しさ、なんという空しさ、すべては空しい」となってしまいます。
神を畏れ、その言葉に聴き従え
地上の人生の空しさを見極めたコヘレトは結論としてこう言います。
すべてに耳を傾けて得た結論。「神を畏れ、その戒めを守れ。」これこそ、人間のすべて。
コヘレトの言葉12:13
何年生きたか、何を成し遂げたか、どれほどの物を所有したか。そんなことはどうでもいい。
神を畏れ、その戒めを守ることが人間のすべてです。
永遠の幸せの中にいる無名のやもめ
一人のやもめが献金をしました。
貧しく暮らす彼女のことを誰も目に留めません。頼れる家族もいなかったのでしょう。社会からものけ者にされ、孤独に世を去り忘れ去られていきます。
しかし彼女のことを知り、注目している人がいました。イエス様です。
イエス様は彼女の生活状況も知っておられ、ささげた少額の献金が生活費のすべてであることも知っていました。
そして弟子たちの目をジャラジャラと音を立てて献金する目立ちたがりの偽善者たちではなく、神を畏れるこの一人の女性に向けさせました。
彼女の名は残されていません。
しかし彼女は今も永遠の幸せの中にいることでしょう。
トラは神を畏れる人
その点では、トラも幸せな人生だったと言えるかもしれません。
トラが士師になったのはギデオンの後です。
ギデオンの死後、トラが士師になる前にアビメレクの反逆がありました。アビメレクはギデオンの側女の子で、エフライム山地のシケム出身でした。アビメレクはギデオンの子69人を殺し、シケムの町を破壊しました。
このような神を畏れないアビメレクによってイスラエルは再び混乱に陥っていました。
そこで神は同じエフライム山地出身のトラを士師として立てました。
トラがどのような人だったか全くわかりませんが、ただ1つ言えることは、トラが神を畏れる人だったということです。
あなたは神の栄光のために造られた大切な存在
神は言います。
彼らは皆、わたしの名によって呼ばれる者。わたしの栄光のために創造し/形づくり、完成した者。
イザヤ書43:7
私たち一人一人は神の栄光のために造られました。
自分の名ではなく、神の御名こそあがめられるべきです。
しかし私たち一人一人の人生がどうでもいいということはありません。
神はあなたの名を呼び、罪によって壊れたあなたを救い出し完成させるために、独り子イエス・キリストを与えました。
平凡な日々でも御言葉に聴き従う幸せ
新しい一年、どのような年になるかわかりません。
神様はあなたを大いに用いられるかもしれません。その時は大胆に一歩を踏み出してください。
もしかするとトラのようになるかもしれません。一年間何をしたんだろうというような平凡な日々。
それでも神を畏れ、その御言葉に聴き従って歩むなら、よい一年だったと言えるでしょう。
寅年のこの一年、あなたの人生の祝福を祈ります。