創世記13
神の後悔
創世記 6:1-8
1 さて、地上に人が増え始め、娘たちが生まれた。2 神の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、おのおの選んだ者を妻にした。3 主は言われた。「わたしの霊は人の中に永久にとどまるべきではない。人は肉にすぎないのだから。」こうして、人の一生は百二十年となった。4 当時もその後も、地上にはネフィリムがいた。これは、神の子らが人の娘たちのところに入って産ませた者であり、大昔の名高い英雄たちであった。5 主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、6 地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。7 主は言われた。「わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけでなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。」8 しかし、ノアは主の好意を得た。
人生は後悔の連続
また日曜日が来ました。一週間が過ぎるのは早いです。
気付けば9月も下旬。
あと100日ほどで2025年が終わります。早いですね。
後悔せずに一年を終えられそうですか。
もっとこうしておけば良かった。なぜあの時やっておかなかったのか。もう万博が終わってしまう。そのような後悔は残りませんか。
日々の生活でもそうですよね。何の後悔もなく布団に入れますか。
言うべきことを言えなかった。逆に言い過ぎてしまった。
そんなことを考えているとストレスが溜まります。
自分を愛そうと思って夜中に甘いものを食べる。
そうしたら次の朝、体が重い。
またやってしまった…。
このような後悔の背景には、間違いがあります。
もし後悔したくないなら、「わが人生に一片の悔いなし」と言いたいなら、間違いを犯さなければいいです。
しかしそれは不可能です。
私たち人間は日々行いと言葉と思いで間違いを犯します。
神は間違えることがないので、神ならば後悔しないでしょう。
ところが聖書には、神が後悔する場面がいくつか出てきます。
人には後悔が必要
今日の本文はノアの時代の導入部分。アダムから10世代目の子孫の時代になります。
ノアの時代の人口
地上に人が増え始めました。
第1世代はアダムとエバの2人でした。
どのくらい増えたのでしょう。ざっくり計算してみました。
この時代の人はだいたい900年くらい生きていました。
1人の女性が平均して何人の子どもを産むかというのを、合計特殊出生率と言います。
2023年の世界平均は2.2人でした。
アダムの時代は今の10倍以上長生きでしたから、22人くらいの子どもを産んでいたとします。
すると第2世代は22人。
その半分の11人が女性とします。
11人がまた22人ずつ子どもを産むと、第3世代は1122で242人。
このように計算していくと、第n世代に産まれる子どもは初項2、公比11の等比数列になり、
で表されます。
第n世代までに産まれた総数は
になります。
ノアの時代までに産まれた総数は
です。
この頃には第3世代までは亡くなっていました。
だからノアの時代の人口は
約52億人です。
ここでは病気、災害、戦争などは考えていません。実際はここまで多くなかったと思いますが、神様の祝福の通り、人は産んで増えて地に満ちていきました。
人のあるべき状態から離れている
2節には気になる表現が出てきます。
「神の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、おのおの選んだ者を妻にした。」
神の子らとは誰でしょう。
天使のようなもの?
4節では神の子らが人の娘に産ませたネフィリムという者たちが出てきます。
天使は霊的な存在で肉体も性別もありません。だから天使が人間の女性に子どもを産ませるというのはおかしいです。
神の子らを神の民と考えることもできます。たとえばセトの子孫が神の子らで、カインの子孫の女性が人の娘だと。
しかし前の章でセトたちも含めて人と呼ばれています。このような解釈は文脈に合いません。だから神の子らとは何者で、ネフィリムとは何者か、はっきりしたことは言えません。
一つ言えることは、この時代の人たちは人のあるべき状態から離れていたということです。
神の子らは人の娘の美しさを見て、自分で選んだ者を妻にしました。
神が結び合わせた相手ではなく、自分の目に良く見える相手を選んでいます。
神の子らと呼ばれていながら、神を無視しています。
神を無視して自分の目に良く見えるものを選び取る。これはアダムとエバが禁断の木の実を食べた時と同じ反逆の姿です。
このようにあるべき状態から離れた的外れの状態を罪と言います。
120年の猶予
人が罪の状態のまま永遠に生き続けることがないように、神は人をエデンの園から追放しました。
それでも900年も生き続けたらどれほどの罪を犯し続けるでしょう。
生涯の中で様々な技術や文化を生み出す。そんな人が52億人もいれば、かなりの大都会もあったでしょう。そこで暴力やみだらな行いが満ちあふれ、人を人と思わない権力者が力を振るい、他人に無関心な冷たい空気が流れていたかもしれません。
そこで神は言います。「
わたしの霊は人の中に永久にとどまるべきではない。人は肉にすぎないのだから。」
これは人のあるべき状態を思い起こさせる言葉です。
人は神の霊によって生かされています。
神を無視しては、人らしく生きられないのです。
神に立ち帰るための猶予として、神は120年という期限を与えました。
この期限は、ノアの時代の人々に与えられた猶予という見方もできますが、現代の私たちも同じです。モーセ以降の時代で120年以上生きられる人はいません。
今の感覚で言うと120年は相当長いですが、この当時の人たちには短く感じられたでしょう。
終わりが来る。
この終わりを意識することで、人は自分の歩みを振り返ることができます。
そして悔い改めて立ち帰ってくることを神は願っています。
人生に終わりがあるということも幸いなことです。
間違いを認めて神に立ち帰る
私たちの人生にも終わりがあります。
私たちはイエスを主と信じる信仰によって神の子とされています。しかし神の子としてふさわしく生きているでしょうか。
いつか御子イエス・キリストが帰って来て、私たちを迎えにきます。
2 愛する者たち、わたしたちは、今既に神の子ですが、自分がどのようになるかは、まだ示されていません。しかし、御子が現れるとき、御子に似た者となるということを知っています。なぜなら、そのとき御子をありのままに見るからです。3 御子にこの望みをかけている人は皆、御子が清いように、自分を清めます。
ヨハネの手紙一3:2-3
私たちは終わりの時、御子キリストに似た者に変えられます。
この終わりを意識することで、自分の歩みを振り返ります。
後悔します。
大いに後悔してください。
間違いを認めることで、神に方向転換して神の子としてふさわしく生きようとします。
こうして私たちはキリストを見上げながら、栄光から栄光へとキリストに似た者に変えられていきます。
神の心の痛み
人はいつも悪いことを思い計っている
5,6節にこうあります。
「主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。」
神様は世界を見渡します。
天地創造の時、神は世界を見渡して「極めて良い」と言われました。
しかし地上に人が増えたとき、神は世界を見渡して心を痛めます。
それは人がいつも悪いことばかりを思い計っているからです。
神様は具体的な犯罪行為だけを見ているのではありません。人の心を見ています。
52億の一人一人の心を見ておられます。
ところが誰の心を見ても、正しい者がいないです。神を知ることも探し求めることもしません。
それで神は地上に人を造ったことを後悔します。
人間の後悔の背景には間違いがあります。
では神も間違えたのでしょうか。人間を造ったことは神の間違いだったのでしょうか。
いいえ、神は間違えることがありません。神の作品に失敗はありません。
間違った道を歩む人間に心を痛めている
神はイスラエル王国の初代の王としてサウルを立てました。
王は神に聞き従い、神の代理として神の民を治めます。
ところがサウル王は神の命令に従いませんでした。
それで神は「わたしはサウルを王に立てたことを悔やむ。彼はわたしに背を向け、わたしの命令を果たさない。」と嘆きます。
ここでも神様は後悔していますね。
サウルを王にしたことが間違いで、やっぱり違う人が良かったと心変わりしたのでしょうか。
いいえ、預言者サムエルは言います。
イスラエルの栄光である神は、偽ったり気が変わったりすることのない方だ。この方は人間のように気が変わることはない。」
サムエル記上15:29
神は人間ではないので心変わりすることはありません。間違えることはありません。
全知全能の神が深い配慮をもってお定めになったことは最善中の最善です。
神が悔やみ心を痛めているのは、神が間違えたからではありません。
人間が間違えるからです。
サウルよ、お前の生涯はこのようなはずではなかった。
人よ、お前たちをこの地上に置いたのは好き勝手に生きて滅びに向かわせるためではなかった。
道を踏み外した子どもたちを見て深く心を痛める親のような心です。
いつまで神の心を痛め続けるのか
神様は今も世界の80億の一人一人の心をご覧になっています。
私たちも神様の心を痛めてしまっていないでしょうか。
人よ、あなたの人生に特別な計画を用意している。
天地創造の前からあなたを愛している。
あなたのために御子キリストを与えた。
あなたには聖霊の賜物が分け与えられている。
それなのにあなたは目の前のものに心を奪われ、空しい人生を歩むのか。
神様は私たちが神に立ち帰ることができるようにと、待っておられます。
いつまで神様を待たせますか。
いつまで神様の心を痛め続けるのですか。
神は心を一つにする者を力づけようとしている
神様は世界を見渡しただ一人、神の好意を得る人物を見つけました。それはノアです。
ノアが間違いを犯さない完璧な人間だったということではありません。ノアも間違えます。
しかしノアは神の言葉に聞き従う人でした。
神様の思いを受け取り、神様と共に歩む人でした。
神様に背き続ける世界の人々を見ながらノア自身も心を痛め、この世に流されることがありませんでした。
神様はこのような人を今も探し求めています。
主は世界中至るところを見渡され、御自分と心を一つにする者を力づけようとしておられる。
歴代誌下16:9a
神様はあなたに特別な計画を持っています。
あなたのために独り子をさえ与えてくださった神の愛を受け取ってください。
聖霊の力によって神の御心を行っていきましょう。
神が愛されているこの世界のために、神の言葉に聞き従って立ち上がる者たちを、神は必要としています。
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