創世記15
戸が閉まる前に
創世記 7:1-16
1 主はノアに言われた。「さあ、あなたとあなたの家族は皆、箱舟に入りなさい。この世代の中であなただけはわたしに従う人だと、わたしは認めている。2 あなたは清い動物をすべて七つがいずつ取り、また、清くない動物をすべて一つがいずつ取りなさい。3 空の鳥も七つがい取りなさい。全地の面に子孫が生き続けるように。4 七日の後、わたしは四十日四十夜地上に雨を降らせ、わたしが造ったすべての生き物を地の面からぬぐい去ることにした。」5 ノアは、すべて主が命じられたとおりにした。6 ノアが六百歳のとき、洪水が地上に起こり、水が地の上にみなぎった。7 ノアは妻子や嫁たちと共に洪水を免れようと箱舟に入った。8 清い動物も清くない動物も、鳥も地を這うものもすべて、9 二つずつ箱舟のノアのもとに来た。それは神がノアに命じられたとおりに、雄と雌であった。10 七日が過ぎて、洪水が地上に起こった。11 ノアの生涯の第六百年、第二の月の十七日、この日、大いなる深淵の源がことごとく裂け、天の窓が開かれた。12 雨が四十日四十夜地上に降り続いたが、13 まさにこの日、ノアも、息子のセム、ハム、ヤフェト、ノアの妻、この三人の息子の嫁たちも、箱舟に入った。14 彼らと共にそれぞれの獣、それぞれの家畜、それぞれの地を這うもの、それぞれの鳥、小鳥や翼のあるものすべて、15 命の霊をもつ肉なるものは、二つずつノアのもとに来て箱舟に入った。16 神が命じられたとおりに、すべて肉なるものの雄と雌とが来た。主は、ノアの後ろで戸を閉ざされた。
バスに乗り遅れてはいけない

私は時々高速バスを利用します。自分の座席が確保されている、大きな荷物も乗せられる、充電やWi-Fiが使える、その上安い。素晴らしい公共交通機関です。
高速バスも路線バスなので時間とコースが決まっています。乗り遅れると扉が閉まり、先に出発してしまいます。
多くの高速バスは途中のサービスエリア(SA)などで休憩があります。
SAに着いたとき、このようなアナウンスがありました。
「出発は何時何分です。出発時間になりましたらご乗車になっていなくても発車します。ご了承ください。」
乗り遅れたら自宅から遠く離れたSAに置き去り。大変です。
バスに乗り遅れてはいけません。
恵みの機会を逃してはならない
今日の本文は創世記7章。洪水が起こる場面です。
家族の救い
ノアは神が命じた通り箱舟を造りました。
神様はノアとその家族は箱舟に入るようにと言います。
その直後に神は「この世代の中であなただけはわたしに従う人だと、わたしは認めている。」と言います。この世代の中で神に従うのはノアただ1人。家族は神に従っていませんでした。
しかし家族も箱舟に乗るように招かれています。それはノアの家族だからです。
箱舟には動物たちも乗ることができます。
つがい、つまりオスとメスのペアで乗って、子孫が生き続けるようにします。
ここでも神は家族単位で救いを計画していることがわかります。

清い動物と清くない動物という区別があります。
清くない動物は1つがいずつなのに、清い動物は7つがいずつ乗ります。鳥も7つがいずつです。
神がどういう基準で清いとしたのかわかりませんが、清い動物と鳥は後でいけにえとして神にささげられます。7つがいもいたので、いけにえとしてささげても、あるいは他の目的で屠っても絶滅しません。
洪水は地上のすべてを滅ぼしてしまいますが、ノアただ1人のゆえに家族も他の被造物も救われます。
家族を箱舟に招く
続けて神は、7日後から雨が40日40夜降り続けると予告します。ついに大洪水が起こります。
ノアは最後の仕上げに入ります。
箱舟に乗るようにと家族を説得します。
動物たちはどうしよう。食料や水は?
神が命じたことを果たすためにノアは走り回ります。
聖書はこのように約束します。
二人は言った。「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます。」
使徒言行録16:31
1人の信仰者のゆえに、その家族が救いにあずかる。
この素晴らしい約束を握って祈りつづけている人も多いでしょう。
神の約束ですが、その実現は簡単な道のりではありません。家族だからこその難しさがあります。
高齢の親が病に倒れてようやく信じた。
息子や娘は教会の話題を出すだけで怒り出す。
このような悩みを抱えている人も多くいます。
ノアも家族の救いに悩まされたことでしょう。
家族は神に従っていません。妻や息子たちがノアのしていることに理解を持っていたかどうか怪しいです。
500歳になって巨大な箱舟を造り出す。時間も財産もそこに費やす。
何のためにそんなことをするのかと聞けば、神から命じられたからだと。
とうとうお父さん頭が…。心配されるだけです。
100年後、ようやく完成したと思ったら7日後に大雨が降るから箱舟に入れと。
お父さんの話に付き合って箱舟に入ってあげてもいいけど、よく聞けば動物も一緒らしい。
無理無理無理。
臭い汚い危険。
嫁さん、ネコアレルギーあるし。
オオカミや熊もいるの?
こんなやり取りがあったかどうかわかりませんが、ノアはなんとか家族を説得して箱舟に乗せます。
しかしノアの家族は妻や息子夫婦だけではありません。
ノアが600歳の時に洪水が起こります。
父のレメクはその5年前に亡くなっていますが、祖父のメトシェラはまだ生きています。
兄弟やいとこたちも多くいたでしょう。
離れて暮らしていたとしても、大切な家族です。
また遠くにいる親戚以上に親しく接していた近所の友だちもいたでしょう。
最後の7日間、ノアは彼らも箱舟に乗ってほしいと説得して回ったのではないかと思います。
伝道の門が開いている間に福音を伝える

パウロはその手紙の中で、福音を伝えるための機会を、門が開かれると表現しています。
その門はいつも開かれているわけではなく、固く閉ざされてしまうこともあります。
神の恵みによって門が開かれるように、人々の心が開かれる時があるわけです。
その恵みの機会を逃してはいけません。
私もたくさんの後悔があります。
家族に愛を表す機会が与えられていたのに、逆に冷たい対応をしてしまったこともありました。
そうなると伝道の門は前よりも固く閉ざされます。
恵みの機会をつかむためには、まず祈りが必要です。祈りの中で神の御心を求めてください。
すると聖霊が私たちの心を駆り立てます。
今だ、あの人に声をかけろ。
あの人が最近どうしているか、LINEしてみなさい。
今、伝道の門が開かれている。あの人に福音を伝えなさい。
その神の招きに応え、キリストの愛を表してください。
伝道の門が閉まる前に。
神の招きに応える
洪水はノアが600歳の年の2月17日に起こりました。この日から雨が降り始めます。
それだけではありません。大いなる深淵の源が裂け、天の窓が開かれたとあります。
大規模な地殻変動があり、大津波が引き起こされたことでしょう。
創造の3日目に陸と海が分けられましたが、その前はすべてが水に覆われていました。大津波によって再び陸地が水に覆われます。
創造の2日目に神は水を大空の上と下に分けました。天の窓が開かれたことで、上の水が地上に降り注ぎます。
そして40日40夜、上空は厚い雨雲に覆われ、光は失われます。闇に覆われてしまいました。
創造の前の状態に逆行してしまったかのようです。
時間切れ

この大災害が起こる前に、ノアの妻、セム・ハム・ヤフェトとそれぞれの妻は箱舟に入りました。
食料もなんとかかき集めました。
そこに動物たちがやって来ます。
ノアが連れて来たと書かずに、動物たちが来たと表現されています。
神ご自身が動物たちを招き、箱舟にやって来たのでしょう。
動物や鳥たちが箱舟に入ったのを見届け、ノアも箱舟に入りました。
そして神は、ノアの後ろで戸を閉ざされました。
メトシェラおじいさんは来ませんでした。
兄弟やいとこたちも来ませんでした。
近所の友だちも誰も来ませんでした。
時間切れです。
この世に流されると間違ったバスに乗せられる
バスに乗り遅れるな。
大事な教訓です。
しかしこの言葉は危険な言葉でもあります。
人々の考える力を奪い、間違ったバスへと走らせることもあるからです。
かつて日本はヒトラー率いるナチス・ドイツ、ムッソリーニ率いるイタリアに倣い、全体主義に傾きました。
そのような新しい体制への期待から使われたスローガンが「バスに乗り遅れるな」です。
この言葉は時代に取り残されてはいけないという焦りを生み、全体主義というバスに人々を扇動させました。
そのバスがどのようなバスか、どこに向かうのかを考える間もなく、流されるままに乗せられます。
そしてこの国は戦争に突き進み、教会もこの世に流されて戦争協力をしました。
私たちもバスに乗り遅れるなと駆り立てられ、この世に流されてしまうことがないでしょうか。
都会の電車なら、間違った便に乗っても途中下車すればいい。
しかし途中で降りられない車や舟に乗ってしまったら、やり直しがききません。
立ち止まって神の御心を求める
立ち止まって神の御心を求めてください。
周りの皆がバスに乗り遅れるなとこの世に流されても、間違ったバスに乗ることを拒む。
周りの52億人が神に背いても、神に従う道を選び取るのです。
神が来なさいと招いています。
神が招くときに信仰の一歩を踏み出す
弟子たちが舟の上で立ち往生していた時、イエス様が水の上を歩いてきます。
そして「来なさい」とペトロを招きました。
するとペトロも水の上を歩きました。
そうか、信仰によって水の上を歩くことができるのか。
マネしないでください。舟は途中で降りられません。
ペトロが水の上を歩くことができたのは「来なさい」と言ったからです。
その神の招きの時を逃して、後で従おうと思っても遅いです。
神の恵みの時を逃してはいけません。
1 わたしたちはまた、神の協力者としてあなたがたに勧めます。神からいただいた恵みを無駄にしてはいけません。2 なぜなら、/「恵みの時に、わたしはあなたの願いを聞き入れた。救いの日に、わたしはあなたを助けた」と神は言っておられるからです。今や、恵みの時、今こそ、救いの日。
コリントの信徒への手紙二6:1-2
神は私たちを招いています。
どこに招くのか、いつ招くのかは一人一人違います。
だから一人一人が、自分に対する神の招きの声を聞く必要があります。
神は今、私に何を願っているか。
その招きを受け取ったなら、応答してください。
その門はいつまでも開かれてるわけではありません。
戸が閉まる前に、恵みの機会を逃さないように、信仰の一歩を踏み出してください。
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