創世記26
愛のために戦う
創世記 14:1-16
1 シンアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティドアルが、2 ソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アドマの王シンアブ、ツェボイムの王シェムエベル、ベラ、すなわちツォアルの王と戦ったとき、3 これら五人の王は皆、シディムの谷、すなわち塩の海で同盟を結んだ。4 彼らは十二年間ケドルラオメルに支配されていたが、十三年目に背いたのである。5 十四年目に、ケドルラオメルとその味方の王たちが来て、アシュテロト・カルナイムでレファイム人を、ハムでズジム人を、シャベ・キルヤタイムでエミム人を、6 セイルの山地でフリ人を撃ち、荒れ野に近いエル・パランまで進んだ。7 彼らは転進して、エン・ミシュパト、すなわちカデシュに向かい、アマレク人の全領土とハツェツォン・タマルに住むアモリ人を撃った。8 そこで、ソドムの王、ゴモラの王、アドマの王、ツェボイムの王、ベラすなわちツォアルの王は兵を繰り出し、シディムの谷で彼らと戦おうと陣を敷いた。9 エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティドアル、シンアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨクの四人の王に対して、これら五人の王が戦いを挑んだのである。10 シディムの谷には至るところに天然アスファルトの穴があった。ソドムとゴモラの王は逃げるとき、その穴に落ちた。残りの王は山へ逃れた。11 ソドムとゴモラの財産や食糧はすべて奪い去られ、12 ソドムに住んでいたアブラムの甥ロトも、財産もろとも連れ去られた。13 逃げ延びた一人の男がヘブライ人アブラムのもとに来て、そのことを知らせた。アブラムは当時、アモリ人マムレの樫の木の傍らに住んでいた。マムレはエシュコルとアネルの兄弟で、彼らはアブラムと同盟を結んでいた。14 アブラムは、親族の者が捕虜になったと聞いて、彼の家で生まれた奴隷で、訓練を受けた者三百十八人を召集し、ダンまで追跡した。15 夜、彼と僕たちは分かれて敵を襲い、ダマスコの北のホバまで追跡した。16 アブラムはすべての財産を取り返し、親族のロトとその財産、女たちやそのほかの人々も取り戻した。
乗客たちの戦い
25年前の2001年9月11日、アメリカで4機の飛行機がテロリストにハイジャックされました。2機はニューヨークの世界貿易センタービル(ツインタワー)に激突。1機は国防総省(ペンタゴン)に激突。しかし残りの1機はペンシルベニア州の野原に墜落しました。
4名のテロリストを含む乗員乗客は全員亡くなりましたが、地上の被害はありませんでした。
テロリストたちはワシントンDCの国会議事堂か大統領官邸ホワイトハウスを狙っていたと思われます。
この計画を失敗させたのは、乗客たちの戦いによってでした。

ユナイテッド航空93便は朝8時にニュージャージー州のニューアーク国際空港を離陸し、カリフォルニア州のサンフランシスコ国際空港に向かう予定でした。しかし空港が混雑していたため、遅れて8時42分に離陸しました。
その直後、8時46分にアメリカン航空11便がツインタワー北棟に激突。
事故かと思われましたが、9時3分にユナイテッド航空175便が南棟に激突。この時すでにテレビ中継が行われており、アメリカ国内のみならず世界中の人々がその瞬間を目撃しました。事故ではなく、飛行機を使った意図的な攻撃であることがわかりました。
ユナイテッド航空93便は離陸が行われたことで、テロリストによるハイジャックが複数起こっていることを知ることができました。
9時30分頃から乗客乗員は機内電話や携帯電話で地上と交信を試みます。
アリスさんは息子のマークさんがこの時間に飛行機に乗っていることを知っていました。もしかしたらその飛行機もハイジャックされているかもしれないと思い、ボイスメールを送ります。「マーク、ママです。テロリストにハイジャックされたんだって。…連中は必死だから、できる限り全力で抑え込んで。…もしできるなら、ほかの人と一緒になって、操縦権を奪ってみて。愛してるよ。バイバイ」
地上との複数の通話から、乗客たちは投票でハイジャック犯と戦うことを選択したようです。
一人の乗客が「Let’s roll !(さあ、始めよう!)」と叫んでコックピットに向かいます。
携帯電話で知人と話していた女性も「みんなが走っていく。私も行かなくちゃ」と言って電話を切りました。
フライトレコーダーには大きな衝撃音、叫び声、ガラスや皿が割れる音が記録されています。
操縦していたテロリストは機体を上下に揺らしますが、乗客の抵抗は止みません。
10時1分、操縦していた男が「これで終わりか?」と聞くと、リーダー格の男が「下ろせ」と答えます。その後、ユナイテッド航空93便は時速900㎞以上の速度で野原に激突しました。
戦いというのは醜いものです。
しかしこの乗客たちの戦いは称賛されるべきものです。
愚かな戦い
創世記14章には古代の戦いが記録されています。
メソポタミア周辺では各地に都市が生まれ、王がそれを支配しました。王は軍を率いて他の王と戦います。敗れた王は、勝った王に貢ぎ物を贈らなければなりません。
都市間の争い

今のイランあたりにあったエラムの王ケドルラオメルはシンアル、エラサル、ゴイム、ソドムやゴモラなどから貢ぎ物を受けていました。具体的な場所がわからない地名もありますが、シンアルはイラク、ゴイムはガリラヤ、ソドムやゴモラは今の死海の辺りです。ケドルラオメルの強大さがわかります。
この関係が12年間続きましたが、ソドム、ゴモラ、アドマ、ツェボイム、ツォアルの王たちは同盟を結び、ケドルラオメルに貢ぎ物を贈るのを止めました。彼らが同盟を結んだのはシディムの谷。死海の南の方です。

翌年、ケドルラオメルは仲間の王たちと共に軍を率いて攻めてきます。
彼らは王の道と呼ばれる内陸の道を通り、その地の住民を攻撃します。聖書の地名で言うとアンモン、モアブ、エドムを通るルートです。
そしてアカバ湾に面したエル・パランまで南下すると、進路を北に変えてカデシュに向かいます。ここからカナン地方です。
ハツェツォン・タマルは死海西岸のエン・ゲディの辺りです。ここから南に下ったところに死海同盟の都市があります。
ケドルラオメルたちは周辺の民族を支配下に置くことで、逃げ道をふさぎました。
死海同盟はシディムの谷でケドルラオメルたちを迎え撃ちます。谷に誘え込めば相手は細長い隊形を取らなければならない。それを周囲から攻撃すれば一網打尽。良い戦略です。
ところが死海同盟は惨敗。王たちは敗走します。ソドム王とゴモラ王は天然アスファルトの穴に落ちてしまいました。
豊かさを求めたのにすべてを失ったロト
戦いに勝ったケドルラオメルたちはソドムとゴモラに入り、財産や食糧を略奪していきます。
ソドムと言えば、アブラムの甥のロトが移り住んだ都市です。
ロトの財産も奪われ、捕虜として連れていかれてしまいました。
ロトは自分の進路を選ぶ自由が与えられた時、目に見える豊かさを選択してソドムに住みました。豊かで安定した生活を送れるはずでした。
ところがすべてを失い、自由さえも失ってしまいました。
死を招く欲望
私たちはより多くの物、より良い物を得たいと思います。
イエス様が十字架への道を進もうとしているとき、弟子たちは誰が一番偉いかで議論を戦わせていました。
イエス様はメシアとしてローマ帝国の支配を打ち破り、王座に着くだろう。その時に誰が大臣のイスに座るのか。
イエス様が私たちを救うために大事な戦いに向かっているとき、どうでもいいことで争っています。
この世の富を巡って争えば富の奴隷になり、高い地位を求めて争えばバベルのような混乱が生まれるだけです。
そして、欲望ははらんで罪を生み、罪が熟して死を生みます。
ヤコブの手紙1:15
欲望に従って争うのは獣と同じです。人間性を失い、他の人を蹴落としてでも勝利を得ようとします。
しかし残るのは空しさだけです。
今は受験シーズン。限られた枠を巡って同級生と戦わなければなりません。
他の人の足を引っ張り、蹴落としてでも合格を勝ち取りたい。
そうして良い学校に入れたとしても、人として大切なことを学ぶことがないなら愚かです。
欲望のために戦ってはいけません。
愛する者のために立ち上がる
ロト救出作戦
ロトのしもべの一人が逃げ出し、ヘブロンのアブラムに知らせました。
ここで初めてヘブライ人という民族名が出てきます。エベルの子孫、さまよう民です。
アブラムはまだ土地を所有していませんでしたが、マムレの樫の木のところで仮住まいをしていました。
マムレはアモリ人で、兄弟と共にアブラムと同盟を結んでいました。
アブラムは妻たちと家畜たちを彼らに任せ、318人の僕たちとロトの救出に向かいます。
あまりにも無謀ではありませんか。相手は5人の王が結束してもあっさりやられてしまったほどの強敵。アブラムのしもべたちの本職は羊飼いなど。巨人と子ども以上の差があります。
それでもアブラムたちはガリラヤの北にあるダンにいた敵を奇襲。それから逃げる敵をダマスコの北のホバまで追跡し、ロトを救出します。およそ240㎞も追いかけたことになります。
ロトを何としてでも救い出したいアブラムの執念を感じます。
そもそもソドムに住んだのはロトの選択でした。そこが神に背く堕落した街だとロトも気づいたはずです。
それにメソポタミアの都市で戦争はよくあること。故郷のウルを出た理由も、エラムに攻め込まれたからだったかもしれない。
ソドムに住んで戦争に巻き込まれたのは必然ではありませんか。
それでもアブラムは助けに行きます。
その動機は愛です。
愛のために戦う
愛のために戦わなければならないことがあります。
暴走するバスがあったとします。
あなたの大切な人がひかれそうになっていたらどうしますか。
あるいは、あなたがそのバスの乗客だったらどうしますか。
大切な人を守るために、命をかけて行動を起こさなければなりません。
運転手からハンドルを奪わなければなりません。
戦いは良くないと口先の平和を唱えても、座って祈っていても、大切な人は守れません。
キリストは、破滅へと向かう私たちのために戦いました。
十字架の道を進み、私たちを束縛する罪と戦いました。
私たちを神から引き離す悪魔と戦いました。
そして死と戦いました。
十字架につけられる前の晩、イエス様はこう言いました。
友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。
ヨハネによる福音書15:13
鍛錬
あなたならどうしますか。
あなたの大切な人が危険にさらされている。
あなたの乗っているバスや飛行機がハイジャックされた。
自分も愛のために戦うと言えますか。
自分の夫や息子に、愛のために戦ってきなさいと言えますか。
その場にいたら戦うだろうと言いたいけれど、準備ができていなければ役に立ちません。
愛のために戦う準備をしておいてください。
アブラムは自分のしもべたちを訓練していました。そのチームワークも勝利の秘訣の1つだと言えます。
体を鍛えるのもいいです。
筋肉だけでは勝てませんから、よく勉強して頭も鍛えてください。
誰かのために犠牲を払う愛の鍛錬を積み重ねておいてください。
何より、戦いの勝利は神の恵みであることを忘れてはいけません。キリストの弟子としての成長を求めてください。
キリストは十字架で悪魔の頭を打ち砕きましたが、この世界はまだ悪魔の支配下にあります。王であるキリストと共に、悪魔の王国と戦う勇士が必要です。
愛する家族や友人を守るために戦う人が必要です。
私は決して、この世の戦いや戦争を美化したいわけではありません。戦争は愚かなことです。
だからこの世の愚かな戦いに対しては抵抗しなければなりません。平和の実現のための戦いも必要です。
愛のために戦わなければならない場面があります。
私たちがキリストに従って立ち上がるとき、罪の奴隷とされた人が救い出され、この地に神の国が前進していきます。



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