御国を来らせたまえ

主の祈り4

御国を来らせたまえ

黙示録22:20

以上すべてを証しする方が、言われる。「然り、わたしはすぐに来る。」アーメン、主イエスよ、来てください。

サタンの王国

 主の祈りの2つ目の願いは、「御国を来らせたまえ」です。
 御国は神の国と言い換えることができます。「キリストによって始まった神の支配」のことです。
 そもそもこの世界は神様が造りました。神様ご自身が治める完全な神の国がそこにあったはずです。
 しかし人が罪を犯し、世界は壊れたもの、呪われたものになりました。
 今も罪と悲惨が世界に満ちています。
 パウロはこのように言っています。

この世を支配する者、かの空中に勢力を持つ者、すなわち、不従順な者たちの内に今も働く霊に従い、過ちと罪を犯して歩んでいました。

エフェソの信徒への手紙2:2

 この世界は不従順な者たちの内に今も働く霊に支配されています。
 「サタンの王国」であるとも言えます。

神の国を待ち望んだ旧約時代

 私たちは罪に支配され、この世界の支配者の座は創造主なる神様からサタンに移ってしまいました。
 神様は人間の罪を見てこの世界を見捨てたのでしょうか。あるいは神様はサタンに敗北したのでしょうか。
 どちらでもありません。
 旧約聖書の中にも、神の支配というイメージは貫かれています。
 神はご自分の民イスラエルを選びました。その民に法を与えました。そして約束の地に連れて行きました。神の国民、神が主権者、そして神が与えた地があります。国民、主権、領土という国の三要素がそろっています。
 しかしそれは神の国というイメージが与えられただけで、現実には成し遂げられませんでした。
 神様は預言者たちを通して、来るべき神の国を語ってきました。
 そして洗礼者ヨハネが来て、「悔い改めよ、神の国は近づいた」と宣言したのです。
 ついに時は満ちました。神の国がこの地上に来ました。イエス・キリストがこの世に来たのです。

恵みの王国

 イエス様はその公の働きの最初に、神の国への招きを語りました。

「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」と言われた。

マルコによる福音書1:15

  神様ご自身が私たちの間に住んでくださいました。
 そして十字架と復活によってサタンの支配を打ち破りました。
 こうして、神の支配が回復しました。
 神の国は既に来ています。どこに来たのでしょう。
 イエス様は言いました。

『ここにある』『あそこにある』と言えるものでもない。実に、神の国はあなたがたの間にあるのだ。」

ルカによる福音書17:21

 実体はなくても、私たちの間に神の国はあります。イエス様が治めるところはどこでも神の国です。
 教会がそうでしょう。それだけではなく、私たちのいるところに神の国は来ています。私たちの家庭にも、職場にも、学校にも、この町にも神の国は来ています。
 これを「恵みの王国」と言います。

「御国を来らせたまえ」に込められた3つの願い

 神の国、恵みの王国が既に来たのに、私たちは「御国を来らせたまえ」と祈ります。
 それは、神の国は既に来ているが、いまだ完成していないからです。
 私たちは罪の支配から自由にされました。しかし私たちは弱く、繰り返し罪を犯します。
 この世界には相変わらず罪と悲惨が満ちています。
 だから私たちは、3つの願いをまとめて「御国を来らせたまえ」と祈ります。
 サタンの王国が滅亡し、恵みの王国が前進し、栄光の王国が到来することです。

サタンの王国が滅亡するように

 私たちとこの世界を支配するサタンの王国は滅ぼされなければなりません。
 とは言っても、イエス様が十字架と復活でサタンの支配を破ったと先ほど言いました。
 勝敗は決まっています。しかしサタンの支配は続いています。
 どういうことでしょうか。
 リーグ戦などで優勝者が決まっても、すべての試合が終わるまで戦いは続きます。
 だから最後の戦いまで、罪と悲惨はなくなりません。
 やがてイエス様が帰って来て、サタンの支配を完全に打ち破ります。

9 この巨大な竜、年を経た蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わす者は、投げ落とされた。地上に投げ落とされたのである。その使いたちも、もろともに投げ落とされた。10 わたしは、天で大きな声が次のように言うのを、聞いた。「今や、我々の神の救いと力と支配が現れた。神のメシアの権威が現れた。我々の兄弟たちを告発する者、/昼も夜も我々の神の御前で彼らを告発する者が、/投げ落とされたからである。

黙示録12:9-10

恵みの王国が前進するように

 イエス様が帰って来る時サタンの王国は滅ぼされます。勝敗は決まっています。
 では、それまで負け続けてもいいのでしょうか。サタンに支配を許してもいいのでしょうか。
 いいえ、恵みの王国は前進しなければなりません。イエス様が治める領域は広がっていかなければなりません。
 自分自身の心はイエス様に治められていますか。自分が神の座に着いていませんか。あるいは恐れや不安に支配されていませんか。イエス様の愛によって心を治めていただきましょう。
 そして私たちの周りに恵みの王国を広げていくのです。イエス様は、行ってすべての民をわたしの弟子にしなさいと命じています。福音が全世界に伝えられ、恵みの王国が前進してから、イエス様は帰ってきます。

そして、御国のこの福音はあらゆる民への証しとして、全世界に宣べ伝えられる。それから、終わりが来る。」

マタイによる福音書24:14

栄光の王国

 世の終わりに神の国は完成します。栄光の王国の到来です。イエス様は私たちを迎えに来ます。
 それはいつになるかわかりません。天のお父さんだけが知っています。
 100年後かもしれないし、今日かもしれません。
 100年後がいいですか。今日がいいですか。
 御国を来らせたまえと祈るなら、早い方がいいでしょう。
 早いと困りますか?ラッパが鳴ってイエス様が迎えに来たら、「ちょっ、待って!まだ準備が…。明日にしてもらえません?」と言いますか?
 もし今日イエス様が帰ってきたら、後悔しそうだと思うかもしれません。
 しかし主は約束しています。イエス様が帰って来る時、

彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。最初のものは過ぎ去ったからである。」

黙示録21:4

 栄光の王国に悲しみも嘆きもありません。呪われるものはなく、すべてが生きます。
 今この世界を支配している疫病や災害、暴力、紛争、貧困、差別、あらゆる罪も悲惨も完全に過ぎ去るのです。
 このような時が来るのは、100年後がいいですか。今日がいいですか。早い方がいいでしょう。
 イエス様は言いました。「わたしはすぐに来る。」と。
 アーメン、主イエスよ、来てください。

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