あなたが必要だ

あなたが必要だ

出エジプト記 35:21-35

21 心動かされ、進んで心からする者は皆、臨在の幕屋の仕事とすべての作業、および祭服などに用いるために、主への献納物を携えて来た。22 進んで心からする者は皆、男も女も次々と襟留め、耳輪、指輪、首飾り、およびすべての金の飾りを携えて来て、みな金の献納物として主にささげた。23 青、紫、緋色の毛糸、亜麻糸、山羊の毛、赤く染めた雄羊の毛皮、およびじゅごんの皮を持っている者も皆、それを携えて来た。24 銀や青銅を献納物としようとする者は皆、それを主への献納物として携えて来た。また、アカシヤ材を持っている者は皆、奉仕の仕事のためにそれを携えて来た。25 心に知恵を持つ女は皆、自分の手で紡ぎ、紡いだ青、紫、緋色の毛糸および亜麻糸を携えて来た。26 心動かされ、知恵に満ちた女たちは皆、山羊の毛を紡いだ。27 指導者たちはエフォドや胸当てにはめ込むラピス・ラズリやその他の宝石類、28 香料、灯油、聖別の油、および香草の香を携えて来た。29 モーセを通じて主が行うようお命じになったすべての仕事のために、進んで心からするイスラエルの人々は、男も女も皆、随意の献げ物を主に携えて来た。30 モーセはイスラエルの人々に言った。「見よ、主は、ユダ族のフルの孫、ウリの子ベツァルエルを名指しで呼び、31 彼に神の霊を満たし、どのような工芸にも知恵と英知と知識を持たせ、32 金、銀、青銅による細工に意匠をこらし、33 宝石をはめ込み、木に彫刻するなど、すべての細かい工芸に従事させ、34 更に、人を教える力をお与えになった。主は、彼とダン族のアヒサマクの子オホリアブに、35 知恵の心を満たして、すべての工芸に従事させ、彫刻師、意匠を考案する者、更に、青、紫、緋色の毛糸、亜麻糸を使ってつづれ織や縁取りをする者など、あらゆる種類の工芸に従事する者とし、意匠を考案する者とされた。

I WANT YOU

ジェームズ・モンゴメリー・フラッグ「米軍募集ポスター」

 星の模様がついたシルクハットをかぶり紺のジャケットに赤い蝶ネクタイを結んだ白髪の男性が、正面に向かって指さすポスターを一度は見たことがあるのではないでしょうか。
 世界一有名な求人募集のポスターだと思います。
 これはジェームズ・モンゴメリー・フラッグさんが制作した米軍募集ポスターです。
 描かれた男性はアメリカ合衆国を擬人化したアンクル・サム。
 ポスターには「I WANT YOU FOR U.S.ARMY(アメリカ陸軍に君が必要だ)」と書かれています。
 第1次世界大戦の時に、アメリカ陸軍への応募を促すために描かれました。

 戦争に参加させられるのは嫌ですが、こんな鋭い目で見つめられながら「I want you.」と言われたらドキッとしませんか。
 「あなたが必要だ」と言ってもらえるのはうれしいことです。

 実は神様もあなたを見つめながら、「あなたが必要だ」と言っておられます。
 あなたは神様にとって、必要不可欠な存在です。

幕屋建設には民の協力が必要だった

 今日の本文はイスラエルの民が荒野で生活し始めたとき、民が幕屋建設の準備に取りかかった場面です。
 モーセは神様からの指示を受け、幕屋建設を命じました。
 すると心動かされた人たちが自発的にささげ物を持ってきたり、それを加工したりしました。
 また特別な技能を持った人をデザイナーとして指名しました。

礼拝の場として建てられた幕屋

ティムナ渓谷公園に復元された幕屋。

 幕屋は臨在の幕屋とも呼ばれる特別なテントです。
 幕屋の中には神の箱が置かれました。モーセはそこで神様と出会い、まるで友だちにするように顔と顔を合わせて神と語り合いました。
 幕屋は礼拝の場です。

自ら進んで持ち物や技能をささげた

 イスラエルの民はエジプトから出たばかり。いる場所は荒野。そこに幕屋を建てる材料はありません。荒野にジュゴンはいません。
 必要な材料を集めるためには、民の持ち物を差し出してもらう必要があります。
 しかしモーセは強制的に集めるのではなく、「進んで心からささげようとする者」に任せました。
 すると民は毎朝自発的にささげ物を持って来ました。十分であり余るほど集まったので、もう持って来なくていいと言わなければなりませんでした。
 ヤギの毛や木材、金属などは、加工する必要があります。
 女性たちの一部はヤギの毛を紡いで毛糸にしました。
 そしてベツァルエルとオホリアブは職人たちのリーダーとなり、材料を加工して幕屋に必要な道具を作りました。
 ベツァルエルとオホリアブは神様が名指しで呼び、聖霊で満たされていました。

教会を建てるにも人々の協力が必要

 幕屋は後に神殿に代わります。そして今、教会がその役割を引き継いでいます。
 教会を建て上げるためにも、人々の協力が必要です。
 それはやはり、「進んで心からささげようとする者」の協力でなければなりません。

 最初の教会の様子はこのようでした。

34 信者の中には、一人も貧しい人がいなかった。土地や家を持っている人が皆、それを売っては代金を持ち寄り、35 使徒たちの足もとに置き、その金は必要に応じて、おのおのに分配されたからである。

使徒言行録4:34-35

 それぞれの持ち物を自ら進んでささげたことで、必要なところに分配することができました。

喜んでささげる

 バルナバという人も実家の畑を売り、その土地の代金をささげました。喜んで仕えるバルナバは信者たちの間で好感を持たれていました。
 それを見ていたアナニアとサフィラ夫妻は、自分たちも土地の代金をささげれば人気者になれると思いました。
 そして土地の代金をごまかし、「これが土地の代金です」と言って一部をささげ、残りを自分のポケットに入れました。
 彼らは自ら進んでささげたのではありません。ささげることによって教会の人たちから認めてもらおうと思ってささげました。
 これは神様をだますことです。
 神様はささげる人の心を見ています。喜んでささげられた物を、神様は喜んで受け取ってくださいます。

恵みで与えられたものだから喜んでささげられる

 私たちは賢いので、計算します。
 収入はいくら。支出はいくら。貯金はいくら。だから神様にささげられるのはこれだけ。
 まず自分の必要を確保し、神様は後回しです。

 イスラエルの民は自分の分を確保して残ったものをささげたのでしょうか。
 いいえ。彼らは惜しまずささげました。
 自分たちが持っているものがどこから来たのかを知っていたので、喜んでささげることができました。

 エジプトで奴隷だった民が、なぜ金の飾りや宝石を持っていたのでしょうか。
 それはエジプトを脱出するとき、エジプト人からもらった物です。
 エジプト中を死の災いが襲いました。ファラオはイスラエル人を解放します。神はエジプト人の心を動かし、かつて奴隷として虐げていた民に装飾品や服を持たせたのです。
 だからイスラエルの民は、自分たちの持ち物が何一つ自分の力で得たものでなく、神様からの恵みで与えられたことを知っていました。
 だから喜んでささげることができます。

 神殿建設を準備したダビデはこう告白しました。

このような寄進ができるとしても、わたしなど果たして何者でしょう、わたしの民など何者でしょう。すべてはあなたからいただいたもの、わたしたちは御手から受け取って、差し出したにすぎません。

歴代誌上29:14

 私たちが持っている物は、神様が恵みで与えてくださった物です。

神の愛と赦しを受け取った人が自ら進んでささげる

 どれだけ多くささげられるかというのは、どれだけ多く持っているかに比例するのではありません。多くのものを持ちながら全くささげない人もいます。
 むしろどれだけ多く恵みを受けたかに比例します。

「シモンの家での食事」

 ファリサイ派のシモンはイエス様を食事に招きましたが、足を洗うなど歓迎の挨拶をしませんでした。
 そこに罪深い生活をしてきた女性が来て、イエス様の足を涙で濡らして髪の毛でぬぐい、足にキスをして香油を塗りました。
 彼女はイエス様から罪の赦しを受け取ったので、これほど献身的に愛を表すことができたのです。
 シモンだって足を洗うタライや香油を持っていたはずです。しかし自分が罪人だと思っていないので、イエス様の赦しを受け取れません。だからイエス様に愛を表すことができません。

 あなたはイエス様の十字架によって罪赦されました。
 あなたの罪はどれほど大きなものでしたか。あなたはどれほど大きな恵みを受け取りましたか。
 あなたのためにイエス様が十字架で死なれたのです。
 それほどあなたは尊い存在です。
 あなたが必要だと言って独り子さえ与えられた神様の愛をまず受け取ってください。
 その恵みを受け取ったなら、あなたは自ら進んでささげる人になります。

あなたなしに神の計画は完成しない

 幕屋の建設にはベツァルエルとオホリアブのように特別な技能を持った人が必要でした。
 持ち物だけでなく、知識や技能が求められます。それを他の人に教える能力も必要です。

神様はあなたを指名した

 ベツァルエルとオホリアブは神様が名指しで呼び、聖霊に満たされていました。
 神様はそのように、私たち一人一人の名を呼びます。

ヤコブよ、あなたを創造された主は/イスラエルよ、あなたを造られた主は/今、こう言われる。恐れるな、わたしはあなたを贖う。あなたはわたしのもの。わたしはあなたの名を呼ぶ。

イザヤ書43:1

 この言葉はイスラエルの民、神様が愛する民に向けた言葉です。
 あなたも神様が愛する民です。だから自分に向けて語られた言葉として読むことができます。
 あなたは神様に造られました。あなたは神様の目に高価で尊い存在。
 神様はあなたを救うために独り子イエスを与えました。
 神様はあなたの名を呼び、あなたを愛していると伝えます。
 あなたが必要なのです。
 そしてその愛を受け取ったあなたに、神様は聖霊を与えました。

聖霊の賜物によって教会は結び合わされる

 聖霊はそれぞれに賜物を分け与えます。特別な技能や知識。
 それを用いて教会を建て上げていきます。ある人は教え、ある人は歌い、ある人は物を作ります。

一人一人に“霊”の働きが現れるのは、全体の益となるためです。

コリントの信徒への手紙一12:7

 賜物は全体の益となるため、教会を建て上げるために与えられています。

 ではあなたの賜物は何ですか?あなたはどのような知恵や技能を持っていますか。どのような知識を持っていますか。
 なかなか自分ではわかりません。賜物は自分にとっては当たり前で気づかないのです。
 他の人と関わる中で、賜物が見えてきます。
 何でこんな簡単なことができないんだろうと高ぶってはいけません。むしろそれを用いて、他の人に仕えてください。
 他の人と関わり、互いに愛し合い仕え合う中で賜物が活かされます。
 そうして愛の絆で教会は一つの体として結び合わされていきます。

あなたは神に必要とされている

 神様があなたにも賜物を分け与えたのは、あなたが必要だからです。
 もしあなたが必要でないなら、他の誰かにすべての賜物を与え、その人に教会を建てさせたらいいです。
 しかし神様はそうしませんでした。
 皆で協力して教会を建て上げること、そしてこの地に神の国を建て上げることを願っています。
 あなただからこそできることがあります。
 あなたなしに神の国は完成しません。

1人でも欠けてはならない

 イエス様はおかしなことを言っています。

12 あなたがたはどう思うか。ある人が羊を百匹持っていて、その一匹が迷い出たとすれば、九十九匹を山に残しておいて、迷い出た一匹を捜しに行かないだろうか。13 はっきり言っておくが、もし、それを見つけたら、迷わずにいた九十九匹より、その一匹のことを喜ぶだろう。14 そのように、これらの小さな者が一人でも滅びることは、あなたがたの天の父の御心ではない。」

マタイによる福音書18:12-14

 100匹の羊の中で1匹がどこかに行ってしまった。
 そしたらこの羊飼いは99匹をほったらかしにして1匹を探しに行ってしまう。
 いなくなった1匹より残っている99匹を大事にすべきではないかと思う人もいるでしょう。最大多数の最大幸福という考え方もあります。
 神様の考え方は違います。
 99匹ももちろん大事です。
 しかしその1匹がいなければ、他のすべてを失うのと同じ。1匹でも欠けてしまえば、100匹の群れは成り立ちません。
 この羊は特別に価値ある羊というわけではありません。小さな者です。勝手に迷い出る困り者です。人の目から見れば、この羊は弱く足りなく、こいつがいない方が群れをよく管理できると思われるかもしれない。
 でもそんな迷い出た羊がいなければ、群れは成り立たない。
 その1匹を見つけ出すことが喜びだとイエス様は言われます。

 これは人間について言っていることです。
 今この世界には80億人の人がいます。その中で1人でも滅びることは天の父の御心ではありません。
 あの人は弱く足りない。あいつがいない方が全体をよく管理できる。人がそう思っても、神様はそう思わない。
 他の79億9999万9999人を置いてでも、その1人を探しに行きます。

 その1人とは、あなたのことです。
 あなたが群れから離れることを天の父は望んでいません。
 あなた1人を見つけ出すために、神様はすべてを置いて探しに行きます。
 あなたなしに神の計画は完成しないのです。

 神様はあなたの名を呼び、あなたを見つめ、「I want you.(あなたが必要だ)」と言っています。
 神様の求人募集に応募しませんか。
 この地に教会を建て上げるために、神の国を建て上げるために、あなたは招かれています。
 さあ、共に神の国の建設プロジェクトに加わろう。

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