神様のプロジェクト

歴代誌講解29

神様のプロジェクト

歴代誌上 28:2-10, 19-21

2 ダビデ王は立ち上がって言った。「わたしの兄弟たち、わたしの民よ、聞け。わたしは主の契約の箱、わたしたちの神の足台を安置する神殿を建てる志を抱き、その建築のために準備を進めてきた。3 しかし、神はわたしに言われた。『あなたは戦いに明け暮れ、人々の血を流した。それゆえ、あなたがわたしの名のために神殿を築くことは許されない』と。4 イスラエルの神、主はわたしの父の全家からこのわたしを選び、とこしえにイスラエルの王となるようにされた。主はユダを指導者として選び、そのユダの家の中でわたしの父の家を選び、わたしの父の子らの中でこのわたしを全イスラエルの王にすることをお望みになったからである。5 主はわたしに多くの子を授けてくださったが、その中からわが子ソロモンを選び、イスラエルを支配する主の御国の王座につくようにされた。6 主はわたしに言われた。『わたしの家とわたしの庭を築くのは、あなたの子ソロモンである。わたしは自分のために彼を選んで、わたしの子とし、わたしはその父となるからだ。7 もし彼が、今日のように、わたしの戒めと法をしっかりと行うなら、わたしは彼の王国をとこしえに堅く据えよう』と。8 今、イスラエルのすべての人々、主の会衆の目の前で、またわたしたちの神が聞いておられるこの場所で言う。あなたたちの神、主のすべての戒めに留意し、それを求めよ。こうしてこの恵みの土地を得、これをあなたたちの後に続く子孫にとこしえに受け継がせよ。9 わが子ソロモンよ、この父の神を認め、全き心と喜びの魂をもってその神に仕えよ。主はすべての心を探り、すべての考えの奥底まで見抜かれるからである。もし主を求めるなら、主はあなたに御自分を現してくださる。もし主を捨てるならば、主はあなたをとこしえに拒み続けられる。10 今、よく考えよ、主は聖所とすべき家を建てるためにあなたを選ばれた。勇気をもって行え。」

19 「これらすべては、主の御手がわたしに臨んで記されたもので、計画された工事の全貌を理解させてくれる。」20 こうしてダビデはその子ソロモンに言った。「勇気をもって雄々しく実行せよ。恐れてはならない。おじけてはならない。わたしの神、神なる主はあなたと共にいて、決してあなたを離れず、捨て置かず、主の神殿に奉仕する職務をことごとく果たさせてくださるからである。21 見よ、組分けされた祭司とレビ人が神殿のあらゆる奉仕に就こうとしている。何事を果たすにも、あなたにはあらゆる奉仕に関して知恵のある献身的な働き手がすっかりそろっており、長たる者をはじめ民もすべてあなたのあらゆる命令に従おうとしている。」

信徒の協力で建てられる壮大な教会堂

 スペインのバルセロナにあるサグラダ・ファミリアはアントニ・ガウディの作品群の1つとして世界遺産にも登録されている教会堂です。
 ガウディの死後95年になりますが、まだ完成していません。完成には300年かかると言われてきました。なぜそんなに時間がかかるのでしょう。
 建物自体の壮大さもあります。また、設計図はガウディの頭の中にしかなかったと言われ、残されたスケッチを頼りに建設していること、弟子たちが残した資料もスペイン内戦で焼失してしまったことも理由にあります。
 もう1つ大きな問題は、資金の問題です。
 サグラダ・ファミリアは日本語で聖家族贖罪教会と訳されます。贖罪教会というのは、信者からの献金で建てる教会ということです。外部からの支援を受けず、献金を集めながら建築を進めていきます。資金不足で建築が中断されることが何度もありました。
 近年は観光客の増加で、チケット収入により資金不足は解消されてきました。
 技術の進歩もあって2026年、ガウディの没後100年の年に完成と発表されていましたが、パンデミックによるロックダウンもあり、どうなるかわかりません。
 建築が始まってから既に100年以上経っているため、建築を進めながら古くなった部分の修復をしなければならないという問題も出ています。
 私にとって、いつかは行ってみたい場所の1つです。
 教会を建築する。その壮大なプロジェクトに、献金という形で、またチケットを購入することでも参加できる。ワクワクしてきませんか。

神様のプロジェクトの完成を待ち望む

 今日の本文はダビデがいよいよ神殿建築を宣言する場面です。
 22章でも同じような話が出てきますが、そのときはソロモンを励ます言葉を語りました。今日の本文は、ソロモンだけでなくリーダーたちの前での演説になります。
 ダビデはここで、神殿を建てる志を抱いたが神から禁じられたこと、神がソロモンを選んだこと、神の戒めを守ること、主が共にいるというソロモンへの励ましを語ります。一貫して神に焦点を合わせています。
 神殿建築は神のプロジェクトなのです。

神様は仕事を終えるまで働き続ける

 ダビデは神殿を、神の足台を安置する神殿と表現しています。
 神殿は神が足を落ち着け、休む場所です。
 神様はいつ休むのでしょうか。詩編には、「イスラエルを見守る方はまどろむことなく、眠ることもない」とあります。神様は24時間365日、私たちを見守っています。
 それでも神は休みます。
 天地万物を6日間で創造した神は、7日目に休みました。神は仕事を完成して休みます。
 神が足を落ち着けて休むのは、神殿が完成したとき。つまり神のプロジェクトが完了した時です。

必要なものは神が備えている

 神のプロジェクトを進める上で大事なのは、組織と計画と資源です。
 組織については、神が選んだ責任者ソロモンの下に、ダビデが整えたリーダーたちが従います。
 計画については設計図があります。ダビデはこれを「主の御手がわたしに臨んで記されたもの」と言います。神によって示された神殿のビジョンがありました。
 資源については戦利品や貢ぎ物として得た金銀青銅や石材、木材があります。さらに民からのささげものが加えられます。ダビデはこれらのものがすべて神から与えられたものだと、29章で告白します。
 必要なものはすべて神から示されています。

神の言葉に従えばいい

 後は神の示した設計図に従って建築を進めればいいです。つまり、神の言葉に従えばいいです。
 ソロモンはまだ若く力も弱いが、主を求めるなら主の力が現れる。だから勇気をもって行え。そのように神殿建築のため励まします。
 一貫して神が主体の、神のプロジェクトです。

幕屋建築プロジェクトという前例

 神の建築プロジェクトは、天地創造とソロモンの神殿だけではありません。
 出エジプト記には幕屋の建築プロジェクトが記録されています。
 ここでも神は責任者モーセの下に、奉仕者や技術者を任命しました。
 設計図は事細かに神が示しました。
 必要な材料はエジプトから出る時に持ち出したものなどを民が進んでささげました。それは主が民に、エジプト人の好意を得させて差し出させたものでした。
 幕屋はまさに神のプロジェクトでした。
 そして主がモーセに命じられた通りに幕屋は建てられました。
 すべての仕事を終えたとき、幕屋には神の栄光が満ちました。神が仕事を終え、足を落ち着けて休んだのです。

イエス様が成し遂げた救いのプロジェクト

 イエス様が進めた神のプロジェクトがあります。
 1つは救いです。
 アダムが罪を犯したとき、神は蛇に対して言いました。

お前と女、お前の子孫と女の子孫の間に/わたしは敵意を置く。彼はお前の頭を砕き/お前は彼のかかとを砕く。」

創世記3:15

 エバの子孫が悪魔の頭を砕くという約束です。これは原始福音と呼ばれる神の約束です。
 聖書の中には救いの約束が繰り返し語られています。
 その救い主が来ることを待ち望んでいた民のところに来たのが、イエス・キリストです。

マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。」

マタイによる福音書1:21

 天使ガブリエルは聖霊によって身ごもったマリアの子について、このように語りました。
 そしてイエス様は十字架につけられ殺されます。
 最期にイエス様は「成し遂げられた」と言いました。
 救いのプロジェクトはイエス様によって成し遂げられたのです。

神の国建設プロジェクト

 もう1つイエス様が進めた神のプロジェクトがあります。それは神の国の建設です。
 これも聖書の中で繰り返し語られているイメージです。
 イエス様も神の国の福音を語りました。
 神の国はイエス様によって既に地上に来ていますが、まだ完成していません。神の国の建設プロジェクトは今も進められています。
 完成するのはイエス様が再び来るときです。私たちは今、それを待ち望んでいます。

アドベントは待ち望む時

アドベントクランツ

 今日からアドベントに入りました。アドベントはクリスマスの4つ前の日曜日からクリスマスイブまでの期間です。
 アドベントは「来る」という意味のラテン語が元になっていて、「キリストが来ること」を意味します。
 アドベントは、この世に来られたキリストを記念するクリスマスを待ち望む期間。そして再び来られるキリストを待ち望む期間です。
 私たちは神のプロジェクトが成し遂げられるのを待ち望んでいます。
 その設計図は聖書に示されています。

3 そのとき、わたしは玉座から語りかける大きな声を聞いた。「見よ、神の幕屋が人の間にあって、神が人と共に住み、人は神の民となる。神は自ら人と共にいて、その神となり、4 彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。最初のものは過ぎ去ったからである。」

黙示録21:3-4

 この約束に向かって、神の国の建設プロジェクトは前進しています。

どのような世界を待ち望んでいますか

 神の国が完成するとき、死も悲しみも嘆きも労苦も過ぎ去ります。
 今この世界の悲惨な現実を見るとき、どのようなものが過ぎ去ることを願いますか。
 走行中の電車に火をつける。中学生が同級生を刺し殺してしまう。2階で幼い甥たちが寝ていることを知りながら火をつけて逃げる。なぜこのようなことをするのかと思うような悲惨な事件が繰り返されています。
 この社会が抱える問題は人の手に負えなくなってきています。
 どのような世界が来ることを、どういう問題が過ぎ去ることを待ち望んでいますか。
 神の国の完成を待ち望みつつ過ごすアドベントになることを願います。

神様のプロジェクトへの招待

 ダビデはこの演説をリーダーたちの前で行いました。
 神殿建築はダビデ一世代では成し遂げられません。息子のソロモンが責任者を引き継ぎます。
 もちろんソロモン一人で行うのではありません。神が共にいます。
 そして祭司、レビ人など献身的な働き人がそろっています。
 そしてリーダーだけではなく、一般の民もソロモンに従う準備ができていると語ります。
 プロジェクトが壮大なものであれば、多くの人の協力が欠かせません。
 責任者の指示に従い、設計図の通りに協力してくれる人が必要です。
 壮大な神のプロジェクトには、総責任者である神と神の言葉に従う民の存在が不可欠なのです。

人間の存在なしに神様のプロジェクトは完成しない

 天地創造においては、神様お一人ですべてを完成させました。
 そこでの人間の役割は、最後の1ピースです。
 最後の1ピースをはめ込まない限り、ジグソーパズルは完成しません。
 ですから人間の存在なしに、天地創造は完成しなかったとも言えます。
 人間の存在なしに、神はその仕事を終えることができませんでした。

 幕屋建設には民のささげものが不可欠でした。民がすすんでささげたものによって、幕屋は完成しました。
 神の救いのプロジェクト、神の国の建設プロジェクトも、多くの人々が参加し進められてきました。

救いのプロジェクトの幕開けに招待された羊飼い

 イエス様誕生の場面には羊飼いが出てきます。当時彼らは社会の底辺にいた人たちです。町の中に入ることもできず、夜通し羊の番をしていた貧しい人たちです。
 彼らのもとに天使が現れ、「今日ダビデの町で救い主がお生まれになった。」と告げました。彼らはどう反応したでしょうか。

天使たちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」と話し合った。

ルカによる福音書2:15

 町の外で貧しく暮らす彼らは、社会の中で必要とされないように思える存在だったかもしれません。
 しかし神は彼らを招きました。ユダヤ人が何百年も待ち望んだ救い主誕生の喜びに招きます。これから始まる救いのプロジェクトの幕開けに招待します。
 羊飼いたちはその招きに応え、歩み出します。そして彼らは生まれたばかりのイエス様に出会います。
 このように彼らは神の救いのプロジェクトに参加しました。

あなたの存在なしに神の国は完成しない

 私たちも神様に招かれています。一緒にしようと。あなたの存在が必要だと。
 人間の社会の中では何もできない存在に思えるかもしれません。
 それでもあなたが存在することで、神の国は完成に向かうのです。
 むしろあなたの存在がなければ、神の国は完成しません。

 昨日はクリスマスの装飾を協力してくださって感謝します。皆さんの協力なしに、クリスマスの飾りつけはできませんでした。
 皆さんがいてくださることで、アドベント、イエス様を迎える準備ができます。
 私たちは今イエス様が再び来ることを待ち望んでいます。
 そのために私たちは招かれています。一緒に神の国を建て上げようと招かれています。その招きに応える皆さんの存在によって、神の国は前進します。

神様のリクルート

 先週は94歳の牧師先生の話をしました。神のプロジェクトに参加するのに年は関係ありません。何歳からでも何歳まででも参加できます。
 しかし考えてみてほしいのです。なぜ90代でも現役で牧師をしなければならないのでしょうか。「今まで長い間ありがとうございました。もう十分です。休んでください。後は私たちの世代が引き受けます。」と言いたいところです。
 しかし言えません。高齢の先生方が引退してしまうと、明らかに人が足りないからです。
 神のプロジェクトへの参加者が足りていないのです。
 普通ならばとっくに定年を迎えているはずの70代以上の牧師が、日本のキリスト教界の中心を担っています。担わざるを得ない状況なのです。
 神のプロジェクトを進めていくためには、次の世代、若い世代が進んで参加する必要があります。
 もちろん牧師になることだけが神のプロジェクトへの参加方法ではありません。
 それぞれの生活の中で神の言葉に従うことで神の国の建設は進みます。
 どのような形であるにしても、神様が皆さんを招くならば、その招きに従って神様のプロジェクトに参加してほしいのです。

 今日からアドベント。イエス様を待ち望むときです。マラナタ、主よ来てください。イエス様に早く来ていただけるように、共に神様のプロジェクトを進めていきましょう。

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